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配当 vs 自社株買!本質的なリターンの差は税金というのは間違い!

配当 vs 自社株買い


こんにちは!
バフェット部のりろんかぶおです!

今回は、企業の株主還元である「配当」と「自社株買」のどちらが投資家にとってお得なのかを見ていきたいと思います。

通常、「配当には毎回税金がかかるが自社株買いには税金がかからないので、自社株買いの方がお得」、
というようなことが言われておりますが、実は本質的なリターンの差は税金ではないということが以下を読んでいただければわかると思います。

(ちなみに自社株買いによる株価上昇に関しても、その利益を確定した時点で配当と同じ税率がかかるので、自社株買いによる利益に税金がかからないというのは間違った考え方です。)

目次
1. 背景
2. 配当 vs 自社株買の分析
3. 配当再投資 vs 自社株買の分析
4. まとめ
5. NYダウ銘柄理論株価一覧






1.背景


皆さんもご存じの通り、企業の株主還元には「配当」と「自社株買い」の二つがありますよね。


配当は株を保有していれば、四半期ごと或いは半期ごとに保有株式数に応じて受け取れるお金です。
これには受け取るたびに毎回税金がかかり、日本では一律20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)。


自社株買いは、企業が自身の発行株式を買い取って、発行株式数を減らすというものです。

時価総額=株価×発行株式数という式が成り立つので、時価総額が一定のまま、発行株式数だけが減ると、
理論的には株価がその分上昇することになります。
よって投資家は、配当のように直接的にお金を受け取ることはできないのですが、株価上昇ということで恩恵を受けることができます。
ちなみに株の売却益にも税金がかかりますが、これも日本では一律20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。

冒頭でも述べましたが、一般的に、配当には毎回税金がかかるが自社株買いには税金がかからないので自社株買いの方がお得、というようなことが言われておりますが、上述のように自社株買いによる株価上昇に対しても、利益確定した時点で配当と同じ税率が課せられるので、税金の差はないはずですよね?

今日は、ここのところを分析していきたいと思います。


2.配当 vs 自社株買の分析


ここでは以下の例を考えていきたいと思います。

企業Aの初年度前提
時価総額:$10,000(一定)
発行株式数:1,000株
株価:$10/株 (時価総額$10,000÷発行株式数1,000=$10/株)
株主還元総額:$500/年

りろんかぶおが、企業Aを1株を$10で購入して10年後に売却するケースを考えてみましょう。
まずは受け取った配当は再投資しないベースで考えていきます。

① 税率20%での配当 vs 自社株買

Untitled spreadsheet
















税率 20.00%



























1.配当ケース(配当再投資なし)


























配当総額/年 $500 1株当り配当=$500÷1000株=$0.5





















企業A状況 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

時価総額 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000


発行株式数 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000


株価(時価総額÷発行株式数) $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00

















りろんかぶお投資活動 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

株式購入 -$10.00









-$10.00

保有株数 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00


株式売却









$10.00 $10.00
















りろんかぶお利益 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

①配当
$0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $5.00

②売却益









$0.00


③税金((①+②)×税率20%)
-$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$1.00

利益(①+②+③) $0.00 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $4.00



























リターン 40.00%

2. 自社株買いケース




























自社株買/年 $500



























企業A状況 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

時価総額 $10,000 10000 10000 10000 10000 10000 10000 10000 10000 10000 10000


発行株式数(当初株式数1000-自社株買株式数) 1000 1000 950 903 857 815 774 735 698 663 630


株価(時価総額÷株式数) $10.00 $10.00 $10.53 $11.08 $11.66 $12.28 $12.92 $13.60 $14.32 $15.07 $15.87


自社株買株式数($500÷株価)
50 48 45 43 41 39 37 35 33 32 401
















りろんかぶお投資活動 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

株式購入 -$10.00









-$10.00

保有株数 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00


株式売却









$16.70 $16.70
















りろんかぶお利益 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

①配当
$0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00


②売却益









$6.70 $6.70

③税金((①+②)×税率20%)
$0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 -$1.34 -$1.34

利益(①+②+③) $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $5.36 $5.36



























リターン 53.60%
















結論だけ見ると以下です。

配当リターン:40%
自社株買リターン:53.6%


配当リターンは自社株買リターン対比で25.4%悪いという結果になりました。

ここで一般的には、配当リターンが自社株買いリターンよりも悪いのは
配当に毎回税金がかかってしまっている為といわれております。

では、本当にこれは税金のせいなのでしょうか?
これを確かめるために、税率が0%のケースを考えてみましょう。

② 税率0%での配当 vs 自社株買

①と同じようなシミュレーションを行った結果は以下。

配当リターン:50.0%
自社株買リターン:67.0%


配当リターンは自社株買リターン対比で25.4%悪い(①と全く同じ)という結果になりました。

ここで一つ興味深いのは、「25.4%悪い」という数字が全く同じ数字であることです。
ここから分かることは、配当リターンが自社株買リターンよりも悪いのは、税金とは全く別の理由があるということです!

では、原因は何なのでしょうか?

上述の計算シートを分析すると以下のような考察が得られます。

まず前提として、企業Aは発行株式が1,000株ありますが、
例えば1000人が1人1株ずつ持っているとしましょう。

企業Aは毎年株主還元を$500行っております。

配当の場合、この$500を1000人全員で分けて1人$0.5受け取ることができます

一方自社株買いの場合はどうでしょう?

1株当り$10ですから、企業Aは$500を使って50人から株を買い上げます。
すると発行株式数が減少するのでその分株価が上がるのですが株価上昇を計算すると、

時価総額$10,000÷発行株式数950=$10.53

となります。
つまり、投資家は最初に$10で買って、その株が$10.53に上がったので、
1人$0.53の利益を享受できることになります!

配当の場合は1人$0.5、自社株買いの場合は1人$0.53。

税金とは関係なく既に、自社株買いの方が有利ですね。

なぜでしょう?

これは配当の場合、株主還元総額を1,000人で分け合っているのに対し、
自社株買いの場合は自社株買いが行われた後に残った950人の投資家で分け合っているからです。

実際に$500÷950人=$0.53となり、上述した株価上昇と全く同じ数字になります。

上記のことからもわかる通り、自社株買いが配当よりも有利なのは、
利益を享受する人数が変わっているからなんですね。これが本質です。

次に、配当再投資のケースを考えていきましょう!


3. 配当再投資 vs 自社株買の分析


では、税率0%で配当を再投資した場合のリターンはどうなるでしょうか?

結果
配当再投資:62.9%
自社株買:67.0%


配当再投資のリターンは自社株買いケースよりも6.2%悪いのですが、
再投資しないケースでは25.4%も悪かったので、それよりかははるかにリターンが改善しております。

では、税率がある場合の配当再投資 vs 自社株買いはどうなるでしょうか?
Untitled spreadsheet








税率 0.0% 20.0% 50.0% 80.0%

①配当再投資リターン 62.9% 48.9% 28.0% 10.5%

②自社株買リターン 67.0% 53.6% 33.5% 13.4%

①÷② 93.9% 91.2% 83.6% 78.4%









一番下の行を見ていただければわかると思いますが、税率が高くなるほど、
自社株買いリターンに対する配当再投資リターンは悪化しておりますね。
これは明らかに税率の差によるものといえます。

配当再投資の場合、配当としてもらう時に税金がかかり、それを再投資して得た利益にも税金がかかり、
その再投資の利益にも税金がかかり・・・というのを繰り返すことになるので、
再投資するための原資に何重にも税金がかかってしまうので、リターンが悪化してしまいます。。

一方で配当を再投資しないケースに比べれば、ましになっていることも確かです。

最後に配当再投資 vs 自社株買いで、企業Aの時価総額が自身の成長やインフレなどで
一定の比率で上昇していくケースについてみてみましょう。

Untitled spreadsheet








株価上昇率(年率) 0.0% 5.0% 10.0% 100.0%

①配当再投資 48.0% 114.6% 1548.2% 170399.8%

②自社株買い 53.6% 122.9% 1596.5% 172224.7%

①÷② 89.6% 93.2% 97.0% 98.9%








※税率は一律20%






これも一番下の行を見ていただければわかる通り、
株価上昇率が高いほど自社株買い対比の配当再投資リターンは改善していきます。

配当再投資の場合、保有株数がどんどん増えていっているので、
企業の時価総額の増加に由来する株価上昇のメリットは自社株買いよりも配当再投資の方が勝っているといえます。

但し、年率100%のケースを見てもわかる通り、どんなに株価が上昇しても
配当再投資のリターンが自社株買いのリターンを超えることはないことがわかります。


4. まとめ


配当 vs 自社株買いの議論でいえば、

・税率には関係なく、利益を享受できる人数が減っている自社株買いの方が投資家にとっては配当よりも有利。

・受け取った配当を再投資することで自社株買いとのリターンの差を一部埋めることができるが、そこで障害となるのが税金。

・どんなに株価が上昇したとしても、配当再投資リターンは自社株買いリターンにかなわないということになります。


5. NYダウ銘柄理論株価一覧

(一覧表は随時アップデート中!最新版はこちら!)






Untitled spreadsheet
NYダウ銘柄
企業名(時価総額順)
※カッコ内はS&P格付
※企業名クリックで
財務分析が見れます
理論株価
(ドル)
現在株価
(ドル)
(2017/9/30)
割安度
割高度
連続増配
(2016年迄)
(5年以上のみ)
時価総額
(百万ドル)
(2017/9/30)
最新決算年
純利益
(百万ドル)
実績PER
Apple (AA+) 138 154.12 12%  高 5年 796,065 45,687 17.42
Microsoft (AAA) 36 74.49 107%  高 15年 575,101 21,204 27.12
Johnson & Johnson (AAA) 104 130.01 25%  高 54年 348,947 16,540 21.10
Exxon Mobil (AA+) 36 81.98 128%  高 34年 347,358 7,840 44.31
JP Morgan Chase (-) 79 95.51 21%  高 6年 336,096 24,733 13.59
Visa (A+) 33 105.24 219%  高 9年 240,659 5,991 40.17
Walmart (AA) 122 78.14 -36%  安 44年 233,420 13,643 17.11
P&G (AA-) 77 90.98 18%  高 61年 232,000 15,326 15.14
Chevron (AA-) (※1) 117.50
29年 222,663 -497 NA
Pfizer (AA) 36 35.70 -1%  安 7年 212,320 7,215 29.43
GE (AA-) 16 24.18 51%  高 209,349 8,831 23.71
Verizon (BBB+) 56 49.49 -12%  安 12年 201,890 13,608 14.84
Home Depot (A) 68 163.56 141%  高 7年 192,807 7,957 24.23
Coca Cola (AA-) 33 45.01 36%  高 54年 191,981 6,527 29.41
United Health (A+) 136 195.85 44%  高 7年 189,360 7,017 26.99
Intel (A+) 35 38.08 9%  高 179,319 10,316 17.38
Merk (AA) 55 64.03 16%  高 6年 174,632 3,920 44.55
Cisco Systems (AA-) 42 33.63 -20%  安 6年 168,152 9,609 17.50
DowDuPont (-) (※2) 69.23 - - 161,719


Walt Disney (A) 51 98.57 93%  高 152,141 9,391 16.20
Boeing (A) 155 254.21 64%  高 6年 150,259 4,895 30.70
IBM (AA-) 213 145.08 -32%  安 21年 135,206 11,872 11.39
McDonald (BBB+) 74 156.68 112%  高 41年 126,910 4,687 27.08
3M (AA-) 107 209.90 96%  高 58年 125,261 5,050 24.80
United Technologies (A-) 55 116.08 111%  高 23年 92,696 5,055 18.34
Goldman Sachs (A+) 241 237.19 -2%  安 6年 91,763 7,398 12.40
Nike (AA-) 34 51.85 53%  高 15年 85,106 4,240 20.07
American Express (BBB+) 73 90.46 24%  高 5年 79,965 5,408 14.79
Caterpillar (A) 49 124.71 155%  高 23年 73,700 -67 NA
Travelers (-) 192 122.52 -36%  安 12年 33,809 3,014 11.22
(※1)シェブロンは過去対象期間のフリーキャッシュフローがマイナスの為理論株価計算不可
(※2)ダウデュポンは2017年9月設立のため理論株価計算不可









NYダウ平均株価 17,191.09 22,405.09 30%  高 - 6,360,654 286,410 22.21
(※)シェブロン及びダウデュポンは現在株価を使用。


以上

りろんかぶお

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2017/10/03 13:45 ] 11.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

りろんかぶお

Author:りろんかぶお
【名前】:りろんかぶお
【出身】:千葉
【性格】:感情の起伏ゼロ。声低め。
【学歴】:東京大学大学院卒
【職業】:総合商社(M&A等)
【資格】:証券アナリスト
【趣味】:投資・麻雀・ランニング
【目標】:1億円を貯めて配当生活
【投資方針】:米国連続増配銘柄への長期投資
【投資デビュー】:大学3年生(小遣い稼ぎのつもりがぼろ負け。。)

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